かながわ健康財団
がん対策

全国巡回がんセミナー

平成28年度をもって 「全国巡回がんセミナー」は終了いたしました。

ご参加ありがとうございました。

概要は以下のとおりでした。

「がん」は、生涯のうちに2人に1人が罹り、3人に1人ががんで亡くなるという時代を迎えています。
神奈川県では年間5万3,000人が新たにがんにかかっています。一方で、医療技術の進歩により、がんはもはや治らない病気ではなくなりつつあります。しかし、そのためには、「早期発見」「早期治療」が何よりも大切です。本セミナーは、県民の皆様にがんのことを正しく知っていただき、がん検診をうけていただくよう行動を起こしていただき、受診率の向上、がんの克服を図ることを目的としております。
本セミナー主催は、公益財団法人日本対がん協会と日本対がん協会神奈川県支部(かながわ健康財団がん対策推進本部)、神奈川県の共催で行いました。

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日時:平成28年12月17日(土) 13:30〜16:00 (開場12:30)
会場:神奈川県総合医療会館 7階講堂

講演1:垣添 忠生氏
((公財)日本対がん協会会長、元国立がん研究センター総長)

講演2:鳥塚 しげき 氏 (ザ・ワイルドワンズ)
(写真は鳥塚しげき氏)
内 容:【講演1】「わが国のがん対策に占める検診の重要性」
講 師:垣添 忠生氏 (公財)日本対がん協会会長、元国立がんセンター総長
講演の内容については、わが国のがん対策に占める検診の重要性をテーマに「がんとはどういう病気か」「がん検診」「わが国のがん対策」の柱で説明いただきました。

がんは1956年から死亡率の第1位を占め、年々増え続けており、そのうちでも高齢者が多く、がんによる死亡率の増加は全世界の課題となっています。
がんは、遺伝子の異常により発生し、その原因として、たばこ30%、食事35%、感染症・ウイルス・細菌によるものが10%、遺伝は5%程度であること、日本人のがんの経年変化は、胃がん・子宮がんは少しずつ減少しているが、肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんは増えており、生活習慣や生活環境との関連が大きいと話されました。
世界のがん対策として、たばこ対策やワクチン接種など予防できるがんは予防する、早期発見できるがんは検診を行い、がん診療はしっかり行い、治せないがんには緩和医療特に、疼痛緩和は特に重要であると話されました。
また、がんは発生しても初期は何の症状もないことから、がんが発生し何年かの時間があり、この無症状の時期に簡単な方法で、検診で介入し検出可能の段階で早期発見、早期治療をおこない、がんになっても死なないというのが検診の一番の目標であると力説されていました。
1960年に胃がんの巡回検診が始まり、その後、1962年には子宮がんが開始。その後、胃がん・子宮がん検診に国庫補助がなされたものの、1998年に補助金が廃止され、地方交付税に基づき、市町村が自ら計画、立案する事業に位置づけられました。対象臓器は胃がん、子宮頚がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つです。
しかし、日本の検診の受診率は、諸外国に比べ低い状況にあり、乳がん検診では、日本は20.2%(2004年調査)米国65%(1995年)、子宮頚がんでは日本23.7%、米国82.6%(2006年データ)となっています。
ワクチンでの予防や早期発見の方法があるのに大変残念なことですと話されました。
わが国のがん医療に対する患者・家族・国民の要望として地域間格差の解消、医療機関間格差の解消、情報格差の解消があげられています。
がん対策基本法案の中の第1条に国・地方公共団体・医療保険者等の責務が明らかにされ、国民の責務として、生活習慣に関する正しい知識やがん検診受診のことが謳われています。がん対策推進基本計画についても、「がんの死亡者の減少」「すべてのがん患者・家族のQOLの向上」に向け重点的に取り組むべき課題も示されています。
かながわのがん対策はこれでよいのか、がん患者を孤立させない、安心しながら働き続けられるなど、がんになる前の生活と同じようにできることが望まれる。最後に、目指す方向に向かって正しい情報・正しい判断が重要であるとお話がありました。
内 容:【講話2】「胃がんになって」
講 師:鳥塚しげき氏 ザ・ワイルドワンズ
司会者から紹介を受けた鳥塚氏は、ヒット曲をホールいっぱいの音量で活力のある歌声で登場し、1曲を歌い終えての講演になりました。
鳥塚さんは1947年生まれ、1966年立教大学在学中にザ・ワイルドワンズでデビューされ、現在、結成50周年記念コンサートを真っただ中とのこと。
鳥塚さんは2002年55歳の時、胃がんになりました。
定期的に受診しているクリニックで腫瘍マーカーの検査を受け、値が正常より高いことから胃カメラを勧められ、試しにと胃の生検を行ったところ、早期の胃がんであることがわかりました。
当時、経過をみていた胆石も大きくなり併せて摘出が必要となったようです。
いよいよ手術を受けることが決まり、これまでにない不安や恐怖感を味わったことが話され、病院の婦長さんに励まされたりして心強かったことなど話されました。
手術は無事に終わり胃を4分の3切除されました。
術後は食欲がわかず、体重が日々減っていき、元に戻さないと声がでない、スタミナが足りないなど焦りを感じたそうです。
その後、徐々に回復した頃、19歳でプロとしてデビューし初めて病気として入院し休んだことで、思うことがあったそうです。
それは、「退院したらこれまでと違う自分・芯を持って生きないとだめだろうな」「1966年、思い出の渚がヒットし、レコードを買ってくれたり、コンサートにきてくれた。その方々に恩返しをしたい」「1960年代の歌を唄うことで、自分が元気づけられるのではないか」と思ったそうです。
そのためには、ウォーキングをしたり、声帯を鍛えなくてはいけない。手術のあとは、早く良くなろう、元気になろうと身体を動かし、元気な体に近づけようという強い気持が必要だと思うとはなされていました。また、自分のお兄様の胃がんの経験から、是非、セカンドオピニオンを受けることの必要性を話がされました。
鳥塚さんは現在、月1回の定期的な検査を受け、いつまでも元気でいられるのは、「食事」「楽しく笑って過ごす」「歌うこと」が大切なのではないかと思う、現在もカルチャーセンターで「皆で歌おう1960年代を」皆さんと歌っていると話されました。
最後に、ヒット曲「思い出の渚」を熱唱していただき、会場の皆様と共に一緒に歌い素敵な時間となりました。
  • 講師:垣添 忠生氏

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  • 講師:鳥塚しげき氏

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  • 会場の様子

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