6. インナーマッスルのエクササイズ
(財)かながわ健康財団 健康運動指導士 京極 浩
突然襲ってくる腰の痛み「ギックリ腰」!! ドイツでは「魔女の一撃」と呼ばれているそうです。
ギックリ腰は突然発生します。
しかし、その原因は、長い時間を費やして、腰椎とその周りの筋肉とに歪みが蓄積したものなのです。
腰痛は主に次の3か所で発生します。
- 腰椎
- 表層筋(アウターマッスル:インナーマッスルを囲む筋群)
- 深層筋(インナーマッスル:腰椎に直接くっついている筋肉)
ここでは、最近注目されているインナーマッスルについて見ていきたいと思います。
腰を取り囲む筋肉はおおよそ20種類あります。
大小様々ですが、それらが重なり合って腰椎を支えていて、 腰椎へのいろいろな方向からの力に対抗しています。
今回注目したいのはこれら内の「腹横筋」です。
この腹横筋は腰椎に最も接近した筋肉で、椎骨と椎間板とを固定する役割があります。
ところが、この腹横筋は、腰椎に何がしかの不具合が起こり始めると、腰椎の動きを制限しようとして、さらに強く働きだし腰椎を強く固定してしまいます。
- 何がしかの痛み
- 反射的に腹横筋などのインナーマッスルが緊張
- インナーマッスルが腰椎を固定 → 痛みを和らげる
- インナーマッスルの硬化 5 ちょっとした動作によりインナーマッスルがケガを起こす = 「ギックリ腰」
これらの流れを見ていると、「4 インナーマッスルの硬化」の時点での予防が大切である事がお分かり頂けるでしょう。
ここで言う予防とは、インナーマッスルの柔軟性と強さを取り戻す事です。
デスクワークが長く続いた後に、痛みというほどではないのですが、身体の芯がだるくなり、腰が硬くなることがありませんか。
これは、まさにインナーマッスルである腹横筋が相当疲れてきている証拠です。
では、インナーマッスルのエクササイズを2つご紹介しましょう。
インナーマッスルを「鍛えるエクササイズ」
- 「気を付け」の姿勢から両手をお尻の当てます。
- お尻のホッペに力を込めて、黄門様をキュツと締めます。
- 両足を肩幅よりも若干広く開きます。
- 鼻から息を吸い込みながら、お腹を膨らませつつ、腰を深く落とします。
- 口から息を吐き出しながら、お腹を凹ましつつ、腰を上げます。
ポイント
- 腹式呼吸を出来るだけ大きく使いましょう。
- 腰や膝に痛みがあって腰の上げ下げが難しい方は、腹式呼吸だけを行いましょう。
- 4秒で腰を下げて、4秒で持ち上げます。これで1回と数えましょう。
- 最初は2〜3回でもOKです。徐々に増やしていって20回(=1セット)を目標にしましょう。
- 午前中に1セット、午後にも1セット。
- このエクササイズは、腹横筋の他に大腿四頭筋、大腰筋も同時に鍛えることができます。
インナーマッスルを「柔らかくするエクササイズ」
- イスに座り、両足を大きく広げ、下半身を安定させます。
- 両手を胸の前に置き、背筋を伸ばします。
- 下半身は動かさず、「電々太鼓」のように上半身を回転させます。
- 背骨を軸として、両肩をわずかに回転させる事をイメージしてください。
- 1往復(1回)を1秒で。180回(3分)やってみましょう。
ポイント
- 腹筋や背筋が伸びきるまで回転させてはいけません。
- テレビを見ていてコマーシャルが始まったら、このエクササイズをやってみましょう。
- お風呂の湯船のなかでやると、なお効果的です。